誘惑の歌

「姉さん、姉さん」と声を掛けてきたのはレナだった。
「レナ、どうしたんだ?そんなに慌てて」
「姉さん、今日姉さんのお誕生日でしょ?はい、これ」とレナが手に持っていた可愛らしい模様の付いたプレゼントを渡した。
「誕生日か・・・、そういえば今日は私の誕生日だったんだよな、ありがとうレナ」とファリスは素直に受け取る。
「開けてもいい?」と早速開けようとすると
「あ!?まだ駄目、部屋に戻ってから開けてね」とレナは慌ててファリスを止める。
「う、うん分かった」とファリスはちょっと不思議に思いながらも頷いた。
「それじゃあね」とレナは早足でどこかへ行ってしまった。

部屋に戻ったファリスは早速レナから貰ったプレゼントを開けてみた。
中には綺麗な装飾が施してあるオルゴールだった。
「お、オルゴールか・・・綺麗」とファリスは目を輝かせながら言った。
そしてオルゴールを開けてみると流れ出したメロディーに聞き覚えがあった。
「このメロディーって、確かバッツの故郷の家にあったオルゴールのメロディーと同じ、あれ?」とファリスがオルゴールの中に紙切れが入っているのに気づく。
紙切れに書かれている字にも何か見覚えがあった。
「これってバッツの字じゃないか、それじゃあこのプレゼントってバッツの・・・、それじゃあバッツの奴タイクーンに来ていたのかよ、来たのなら顔ぐらい出せよな・・・」とファリスは頬を膨らませ腕を組みながら言った。
そして改めて紙切れに書かれている文字を読んでみるそこには「愛している」という文字が目に入ってきた瞬間、ファリスは思わず紅茶を吹き出し、それに手に持っていたお気に入りのカップをうっかり落としてしまい、思わず「きゃっ」という声が出てしまった。
「あ、あいつな、な、なに冗談言っているんだよ・・・、平和になってから一度も会ってないのに勝手な事言いやがって・・・じ、冗談にも程があるぞ、全く・・・俺何言っているんだ、くそ〜」

とその時、「コツン」という音が聞こえファリスは窓を開けベランダに出てみると「よお」と聞き慣れた声を聞き身を乗り出してみると、そこにはバッツの姿があった。
ファリスは何度も目擦り「ほ、本当にバッツなのか?」
「ああ、どこからどう見ても俺だろ?もしかしてオルゴールを聴いて誘惑の歌を聴いた時みたいに混乱でもしたか?」と笑いながら言う。
(この声、この顔間違いなくバッツだ・・・)と早くも目には涙が溢れ出したファリスは「ば、馬鹿野郎が、いきなり帰ってくるなり冗談言いやがって・・・」と思わず怒鳴ってしまう。
「わ、悪かったな」とファリスのそんな様子を見てバッツは素直に謝った。
「けど、紙に書いていたことは冗談でもなんでもないぞ、あれは俺の本当の気持ちだ」
「な!?い、いきなりそんなこと言われても・・・」とバッツのいきなりの告白にファリスは顔を赤らめバッツに背を向ける。
「ごめん・・・」とバッツが謝ろうとした瞬間、いきなりファリスがベランダから飛び降りてきた。
「な!?」といきなりの事に一瞬戸惑ったが、素早くファリスの体を全身で受け止める。
「おい、ファリスいくらなんでも無茶しすぎだろ」と心配そうに言うと、ファリスはいきなりバッツにぎゅっと抱きしめてきた。
「ふ、ファリス」といきなりの出来事にバッツは体が動かない。
「もうどこにも行くな、私を置いて・・・もしまたどこかに行くって言うなら今度は私も一緒に行くからな」とファリスは恥ずかしそうに言う。
「ファリス・・・けどお前はタイクーンの王女だ、城に居ないと駄目だろ」
「城にはレナが居る、私が居なくても大丈夫だ」
「いや、さすがに大丈夫じゃないだろ」
「いえ、大丈夫よ」と突然聞きなれた声にバッツは上を見上げるとそこにはレナが居た。
「れ、レナ」とバッツは驚いた表情で言う。
「そのことなら、私に任せて。バッツと姉さんは早く行って、急がないと誰か来るわ」
「だ、だけど・・・」
「もう、バッツいい加減姉さんを連れて行ってあげたら?告白もしちゃったんだし」
「そうだぞ、もう私はお前の側から絶対に離れないからな」
「やれやれ、しょうがないか、じゃあ行くか俺達の新婚旅行に」
「ああ」とファリスは思いっきりバッツに抱きついた。

Fairyから一言

 うわぁ〜! 甘くて幸せなバツファリですね!! ファリスがとっても可愛いvvv オルゴールネタ大好きですよ〜♪ ファリスはやっぱり大胆じゃなきゃ、という感じがします。最後になりましたがアレルさん、誕生日プレゼントどうもありがとうございました(*^_^*)

Back Home Next

inserted by FC2 system