P.S. I LOVED YOU

”旅の後片付け”がすっかり一段落したヤンガス。
久々にパルミドの西にある、ゲルダのアジトに遊びに行った。
「ゲルダー! 来てやったぞー!」
しかし、そこでゲルダはもとより馬小屋番やあらくれもおらず蛻(もぬけ)の殻。
そのかわりに鼠や猿や鳥が居つく干支のハウスと化していた。
やっとのことでバラックとも、廃墟ともいえないところをかきわけて
ゲルダが普段座っている籐の揺り椅子の上に一通の手紙があった。
その手紙には効果書かれていた ”ヤンガスへ”。
震える手をおさえ、ヤンガスはその手紙を読み始めた。

「拝啓 ヤンガス様

この家の今のザマを見て驚かれたことでしょう。
貴方たちが暗黒神を倒されたことが、
皮肉にも私にとっては、昔以上の明日なき日々のスタートのピストルでした。
まさか、あのバンダナの坊やがサザンビークの王族だったとは。
そして、パルミドでの盗品屋の掘り出し物が、トロデーンのお姫様だったとは。
姫様を盗んだのならまだしも、自らの手を汚さずに買い叩き、
放牧すればよかったものを鎖に縛り不自由な日々を与え、
あまつさえその姫様の前で、貴方と愛し…
もういいでしょう、これ以上は言い訳にしかなりませんね。
サザンビークのとっちゃん坊やの王子と婚姻を破棄の話を聴いたときには、
そのドサクサにとっちゃん坊やの傷を癒すふりをして
サザンビークのお宝を総取りするつもりでした。
それどころか、逆にサザンビークやトロデーンの兵にとって
私自身がお宝になる、つまり賞金首になったという風の噂を聞きました。
考えてみたら、とっちゃん坊やの相方といわれても仕方のないことをしました。
”パルミドの南海のゲルちゃん”という、若手芸人みたいな符丁もできたそうで。
結婚式の日だけで3人の賞金稼ぎが来ました。
翌日には倍以上の7人が来ました。
その中の一人に捕まりかけましたが、
そいつに”女の武器”をちょっと振り回した隙に
そいつが私に見とれ、その隙に逃げられました。
こうなると、部下2人の命の保障はできなくなります。
彼らには僅かながら、パルミドなら一生食うに困らない退職金を渡しました。
もはや私は一人のゲルダという女の身です。
明日の朝日を拝めるか分からない日々。
それ以前にこの手紙が貴方に読まれる頃に、私がまだ存命の保障すらありません。
願わくば2人で共に逃げ、逃げ切った暁には過去を消して、
貴方と貴方の子供たちとの生活も考えたこともあります。
しかし、その甘い夢が叶うことは一生ないでしょう。
貴方にとっても、過去に私とつるんでいただけならまだしも、
今でも私と関係があることが分かったら、
次は貴方が賞金稼ぎのターゲットになるかもしれません。
永遠の別れになるでしょう、私がここに戻ることはありません。
さようなら、ヤンガス様

P.S. I LOVED YOU,YANGUS!

「バカヤロー!!」アジト廃墟にいた小動物が全て逃げたほどの大声が、
C字型の湖に響いた。

Fairyから一言

 ヤンゲル、いいですよね〜。私はヤンゲルってシチュエーションが難しくて書けないので羨ましいです。ゲルダが乙女チックなところが◎vvv ゲーム本編みたいな姉御さんゲルダも好きですけどね。Y.S.NAVY様、ありがとうございました!

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