第2話 再会

 俺の携帯に受信された1通のメール───それは同じ学校に通う、茜からのものだった。
 本名、大澤茜(おおさわあかね)。2年10組に現在は在籍していて(ちなみに俺は2年3組だ)、縁あってか、小学校からずっと同じクラスだった。
(最近、あまり話していないよな………)
 クラスが別れてからはメールでこうやって会話する事はあっても、学校で話す事はあまりない。まぁ、取り敢えずはそんな事どうでもいい。
 いつものようにゲームの話の類だろうと俺は思った。RPGをプレイする時は俺の方が進行が早いから、例によってアドバイスが欲しいとか、その手のメールだとばかり思っていた。
「………!?」
 その、推測は半分だけ合っていた。
 予想通りパラレルクエストのプレイ内容についてのメールだった。
 だが………。
 今回は、違った。
 俺と同じような体験───パラレルクエストの世界に入り込んでしまったらしい。
 俺はどう返信すればいいか迷った。
 迷いに迷った挙げ句、今から近くの公園に行こう、と送った。
(日向達も確かパラレルクエストをプレイするって言ってたよな………)
 俺は今でこそ他校に所属しているが、中学までずっと同じクラスだった4人の友達にも連絡してみる事にした。


「信じられない………勇夜も日向も!? それだけでなく香澄も元も同じ境遇だなんて!!」
 茜が驚きの声を上げた。
「まさか、久し振りに6人揃ったかと思えば、こんな有り得ない話とはな」
 日向は半分呆れている。
 俺だって信じられないのは同じだ。
 でも、心の奥で妙に納得もしていたりする。
「茜。お前は誰を選んだんだ?」
 まさかとは思ったが………。
「パステル=ベルフォーレよ」
「………………マジかよ」
「どうしたんだ、勇夜?」
 俺はあからさまに変な顔をしたらしい。
 日向が怪訝そうな顔をした。
「俺はパステルとパーティを組んだマイティ=アルフォードを選んだんだ………」
 だから、パステルが誰かに似ていると思ったのか!
 俺の中でパズルのピースがピッタリとはまるのを感じた。
「じゃあ、あれはやっぱり勇夜だったの!?」
 ああ、そうだ、と俺は返事をした。
「俺と香澄はそれぞれマイヤー=ロアとカレン=ジュディスを選んで2人でパーティを組んでいる。現在地はオラクルディアだ………」
『オラクルディアッ!?』
 俺と茜は声が綺麗に、ハモった。
「俺達は………オラクルディアへ行こうとしていたんだ」
 少し間を置いてから、俺は言った。
「私と元もオラクルディアに向かっているわ。そこが1番クエストの手に入りやすい場所だって聞いたから」
 志保が俺の後に続き、元はその事に肯定の意を示している。
 偶然にしては出来過ぎていた………そんな気がしなくもない。
(みんなはこの状況をどう思っているのだろう………)
 この不可思議な事に対して肯定的なのか、それとも否定的なのか。
 俺にはそれが気になって仕方がなかった。
「………ねぇ、あっちの世界で逢う事って、できないかな?」
(茜………)
 実を言えば、俺も同じ事を考えていた。だから、みんながどう思っているのかが、知りたかった。
「やってみようぜ」
「それもまた何かの縁だな」
 他の4人も同様に賛成した。
 再び、あの時のようになる………。
 それが俺にとって何より嬉しくてたまらなかった。


 3年1組───俺達6人は小学校から中学校まで同じクラスだった。
 昔から家が近くて、よくお互いの家に遊びに行った。
「今回も一緒だったよね」
「そうだな、6人共縁があるよな。ここまで来るともう、腐れ縁って感じだ」
 以前、中3になった直後に茜の家に遊びに行った時、こんな会話を交わしたのを俺は覚えている。
 でも、俺らは高1になって初めてバラバラになった。
 今までずっと、一緒だったのに。
 俺はそれが淋しくてたまらなかった。
 時々逢って話をする事がなかったわけではないけれど、お互い学校が違う事もあって以前程長話をする事もなくなってしまったのだった。
 だから、せめてこのパラレルクエストが終わる、それまでの間だけでも俺はみんなと一緒にいたかった。
 この旅が終わった時に、全ての答えが見出せると、信じて───。

後書き/サブタイトル 『幼馴染みの集結』
 リメイク版では4人から6人にパーティを増やしました。6人共個性的なキャラクターですよ♪ さて、いよいよ本格的に冒険が始まります。次回からは戦闘シーンとかも入ってくるでしょう。

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