多少描写がきついかと思われます(たぶん16禁ぐらい)。これを見て不快に思われても一切責任は取りません。苦手な方はブラウザバックでお願いします。大丈夫な方はスクロールで。
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もぅ、本当に唐突なんだから…。
私は溜め息を付いた。すると、あの氷のように透き通った蒼い瞳が私を覗き込んでくる。
私はこの美しい瞳に何度ドキッとしたのかしら?
「ゼシカに連れて行きたいところがあるんだ。なっ? いいだろ?」
さっき言った言葉をククールは繰り返した。
私だって勿論ククールと出掛けるのは嬉しい。でも、いきなり言われても…。
「ゼシカの事だから家にいるとストレス溜まるんじゃねーかと心配してるんだぜ?」
…ぅ、それもそうなんだけど。
私は言葉に詰まった。さらにククールは続ける。
「それに、ゼシカの御母様がまた見合い話を持ってくるかもしれないぜ?」
私達は何だかんだ言いながらも結局母さんにククールとの仲をまだ何も言っていない。ククールが家に出入りしているのもあくまでも仲間として…少なくとも母さんはたぶんそう思っているはず。
だからククールの言う事は正しい。お見合いを断るのって本当に面倒だもの。
「ちぇ…仕方ねぇな。あんまり手荒なマネはしたくねーんだけど」
そう言いながらククールの口許には微笑が。
「ちょ…ちょっと何をする気なの!?」
「いや、少し悦ばせたら行く気になるかなーって」
じりじりと私の方へとにじり寄ってくる。反射的に私は後退りした。
トンッ。
…ぁ。
私は壁にぶつかった。そこをククールが見逃すはずもなく…。
「逃がさないぜ、ゼシカ」
ニヤリと笑い、私の両手首を拘束する。
こうなってしまうのは毎度の事…全く、恥ずかしい事だけど。そう思うと何だか抵抗する気にすらなれない。
「随分大人しいじゃんか。止めるなら今のうちだぜ?」
ククールって本当に意地悪だわ。そんな風に言われると私がどう出るか知ってるのに…。
「アンタなんかに絶対負けないわ。首を縦に振ったりしないからねっ!」
あぁ…やっちゃった。自分の事ながら素直じゃない性格って嫌になるわ…。
「そんなハニーを悦ばせるのも一興、ってか…」
耳許でククールが囁く。私は顔を赤らめた。
「ぁ…や、だ…ダメ…っ」
「ゼシカがココ弱いのはよーく知ってるぜ?」
耳朶にククールの舌が這う。
「ココも…それからココもな…」
「…ん…ぁ…あっ!」
首筋から鎖骨にかけて降るキスの雨。私の理性が吹っ飛びそうになった。
「まだ何もしてないのにゼシカってばエロいな…」
あぁ…止めてそんな甘い声で囁かないで。身体に毒だわ…。
残った理性で何とか脱走を試みる。けれど、身体に力が入らなくて…。
「…ぅん、ぅっ…ふ…んんー…」
ククールの口付けはまるで悪魔のように甘美で魅惑的。そして、媚薬のよう。
舌を絡め取られた私は虚空を仰いだ───。
「流石にこれ以上はここじゃ無理だな」
「うん…///」
本気で抵抗しなかったのはククールを信じているから。昼間からこんな事…誰かに、まして母さんに見つかりでもしたら…それこそ何が起こるか分からない。ククールもその辺りの事情はちゃんと分かってくれているから私も敢えてそのままにしておいた。
「それにしてもイジメられて悦ぶなんてゼシカってMだな〜」
「…そ、それはククールがあんな恥ずかしい事するから…///」
またしても耳許で囁かれ、私は真っ赤になって俯いた。
「そんじゃー、行きますか」
「仕方ないわね。私の負けだわ」
私だって勝てるとは思わなかったけど…。でも、素直に認めたくなかったのよ。
私の手を引っ張ってベランダに出ると、ククールはルーラを唱えた。
「ここは…サヴェッラ大聖堂?」
「そう。ゼシカにいいものを見せてやろうと思ってな」
サヴェッラ大聖堂と言えば、ここへ来る度に何か問題が起きてたような気がする…。私はそんな風に過去の記憶に耽っていた。
「まずは夜まで待たないとな…。取り敢えず宿屋へ行こうぜ」
ククールが私に見せたいものって何なのかしら?
私はその答えが見つからないまま宿屋へと向かった。
「お部屋は1つで宜しいんですよね?」
女将さんがククールに問いかける。すると、ククールが首を横に振った。
「いや、2つで」
「すみません、てっきりそうかと…」
女将さんは微笑みながら記録簿にチェックを入れようとした。けれどそれを私が遮った。
「いいわよ、1つで」
「え? いいのか…ゼシカ!?」
ククールは私の思わぬ行動に口を空け、辛うじて紡いだ言葉も声が裏返っている。
「カン違いしないでちょうだい。お金が勿体無いからよ///」
素直に「一緒にいたい」とは言えず、代わりに言葉になったのはやっぱり憎まれ口。
あぁ…ホント嫌になる。
私は密かに溜め息を付いた。
「まだ時間があるな。ベッドもある事だしゼシカを堪能してもいいよな…」
「アンタってホントにところ構わずなんだから。もぅ、サイテー…///」
「わっ…冗談だっつーの。…仕方ない、夜まで時間があるから少し寝ようぜ」
私が呪文を放つフリをするとククールは慌てて訂正した。当然ながら私は不審の目をククールに向ける。
「大丈夫だって。寝込みを襲ったりしねーよ」
口ではそう言うものの。ククールの両手は私の身体を抱え上げた。そして私をベッドに下ろした後でククール自身もベッドに潜り込んだ。
…私、どうしようもない程ドキドキしてる。
それを自覚すると益々心臓の音は早鐘を打ち始める。それを悟られたくなくて私はククールに背を向けた。
「きゃ…っ」
「ゼシカってば本当に抱き心地サイコーだよな」
恥ずかしさのあまり背を向けたのが失敗だったんだわ。
ククールの香水が私の鼻を掠める。私の大好きな安心する匂い。
こうされる事に不快感は感じなかった。
「襲わないんじゃ、なかったの…?」
「こんなの襲ってるうちに入んねーよ」
私の精一杯の抗議にククールはしれっと答える。ククールは私の手首を掴んで自分の頬に寄せた。
「それにしてもゼシカってば可愛いな。そんなにオレにドキドキするわけ?」
「うるさいわね…///」
もぅ、自意識過剰なんだから…。
私の動揺なんかククールはお見通しなわけで。
「オレは嬉しいんだぜ。ハニーがこんなにドキドキしてくれてるなんてな」
ククールはそのまま私の手首に軽くキスをし、満面の笑みを私に向ける。
…目の毒だわ。お願いだからそんな風に笑わないで…何も言えなくなっちゃう。
結局私達は夜までずっとこんな調子だった───。
「そろそろだな。行ってみようぜ」
「ねぇ…何があるの?」
「それは行ってみてのお楽しみ」
とびっきりのウインクが私を射抜く。
本当に気障なんだから…もぅ。
「寒くないか?」
ククールは外套を脱ぐと私の肩に掛けてくれた。
「ありがと…」
こんな風に外套を借りるのも何度目になるのかしら…?
広場には何組かのカップルがいた。みんな空を見上げている。
私が不思議に思うと突然それは起こった。
「わぁ…キレイ………」
雪のようで少し違う。氷のように透き通っていて…まるでククールの瞳のようだった。それが月の光に照らされてきらきらと光ってる。
「オレがゼシカに見せたかったのはこれ。サヴェッラ地方では毎年必ず3月14日の夜にダイヤモンドダストが起きるんだ。神様が…恋人達の為に降らせるんだってさ」
「ホント…神様っているんだね…」
「………かもな」
ククールが私を抱き締めた。いつの間にか皮の手袋は外していたらしく、彼の手の温かさがダイレクトに伝わってくる。
ぁ…私また、ドキドキしてる…。
「ゼシカ、愛してる…」
「…私も」
ククールの右手は私の肩に置かれ、左手はというと私の顎に触れた。
彼の銀色の髪が月の光を浴びて輝いている。まるで、ダイヤモンドダストみたいに…。
ククールの前髪が私の顔に触れる。お互いの距離がだんだんと近くなってきて…私はゆっくりと目を閉じた───。
後書き
フリーにしなかったのはこういう理由です。書いていたら激しくなちゃって…(汗) プロット見れば分かるんですけど、冒頭のアレはプロットの段階では全く考えておらず、ゼシカを説得するククールが痺れを切らしたら…というノリで書かせて頂きました。久々に気合いを入れましたよ! いぢわるなククに萌えですvvv(すみません;;) うちのククールはキス魔だからねぇ…。前半戦なんか激しかったし(マテ) 恋人前提の2人でしたからゼシカもいつもよりは大人しいです。個人的にはゼシカの心情描写が上手く描けたかなぁ…とか思っています。それにしてもホワイトデーとは何ら関係がない…(-。−;)
プロット※要反転
ホワイトデー編。バレンタイン編の後日談。ククールのエスコートでサヴェッラ大聖堂へ。
ククール「ゼシカに見せたいものがあるんだ」
着いてすぐにまず宿屋の予約。
女将さん「お部屋は1つで宜しいんですよね?」
ククール「いや、2つで」
女将さん「すみません、てっきりそうかと…」
ゼシカ「いいわよ、1つで」
ククール「え? いいのか、ゼシカ!?」(←声が裏返ってる(笑))
ゼシカ「カン違いしないでちょうだい。お金が勿体無いからよ///」(←素直じゃない(笑))
(それまで何をしていたかは敢えて語らないけど(マテ))夜中。外の広場へ。
ゼシカ「わぁ…キレイ………」
ククール「オレが見せたかったのはこれ。サヴェッラでは毎年必ず3月14日にダイヤモンドダストが起きるんだ。神様が…恋人達の為に降らせるんだってさ」
ゼシカ「ホント…神様っているんだね…」
ククール「………かもな」
ゼシカにキスvvv