1 風の申し子

 風の声を聞く 病んでしまった風の悲鳴を………。
 俺達は負けられない 世界の為に。

 風の無い世界がこんなにもおかしいなんて。
 失って その重みを知ることが。
 こんなにも辛いなんて今まで分からなかった。

 ………………けれど。

「バッツ! 行こうぜ」

 仲間がいるから。
 だから今は 分かるんだ。

 俺は 空を見上げた───。

後書き

 このお題を見た時に即座に「これはバッツの為のお題だ!」と思いました(笑) 風って難しいです。抽象的過ぎて。炎とかならまだマシなんですけど。


2 生意気

「あんたなんて、大っ嫌い!」

 ………生意気な奴。
 今までオレに靡かなかった(なびかなかった)奴なんて誰1人としていなかったというのに。

 でも………。
 オレは嫌われた。
 今まで遊んでいたからかもしれない。
 オレは誰かに嫌われることがこんなにも辛いことを、再び認識させられた。


 けれど、それが彼女の誤解だったと分かった時、オレとあいつとの距離が一気に縮まったと思った。

「や、ちょ………離してよ、ククール!」
「やだね」
 こんな風に、オレが回復してやろうとすると強がる彼女も今では微笑ましい。
 じっくりと、オレのモノにしてやるからな───。

後書き

 まだキャラの性格を掴みきれていない頃に書いたせいか、何か変です(汗) ククはもっとクールでなきゃ。


3 世界の行く末

 オレ達の時代だけじゃない。
 世界の全てがこの戦いにかかっている。
「チェスター? ………あ、もしかして緊張してんの? やーね、らしくないなぁー、もう」
「うるせー」
 オレはアーチェを小突きながら思った。
 こいつは緊張していないのだろうか? と。

 ………していないはずがなかった。
 相手はあのダオスだし、何よりアーチェの手が僅かに震えていることにオレは気がついていた。
 でも、それでもこいつは決して笑みを崩さない。

「お前の魔法が頼りなんだからな。しっかりしろよな」
「へーん、チェスターなんかに言われなくたって分かってるわよーだ」
 アーチェはホウキに跨がったまま、あっかんべーをした。
(むかつくヤツ………)

 でも、感謝してるんだぜ。
 お前がいなかったらオレ、ガチガチに固まっていたと思う。
 だから………ありがとうな。

 オレ達はダオス城へと乗り込んだ───。

後書き

 実に私らしいチェスアーです。やはり2人には喧嘩がなければ。口喧嘩こそが2人のコミュニケーションツールですからね。


4 生きろ

 オレは…。
 ただ、アイツに生きて欲しかった。
 翡翠の瞳、紫の髪の持ち主に。

「恋でもして、ちったぁ女らしくなりな」

 この気持ちは永久(とわ)に叶わないと分かっていても。
 そう、願わずにはいられなかった。

(皆と仲良くやれよ、ファリス)

 オレはただそれだけを祈り、仲間の為に振るう最後の攻撃を仕掛けた───。

後書き

 初めてギル→ファリを書きました。私のイメージではかなりシリアスなんですよ、この2人。


5 本当の笑顔

 いつでもあいつは笑っている。
 嘘なんかじゃない。
 心の底から本当に笑うんだ。
 屈託のないあの笑みを見ているとオレまでもがつい笑ってしまう。

「そんなに怒るなよ、な? ファリス」

 そうやって満面の笑みと共にオレをなだめる。

 ………ずるい。
 オレが怒っているのを知っているくせに、慌てず騒がず、優しく怒りを解いてしまう。
 いつだってこいつはそうだ。


 でも、その笑顔に何度も救われた。
 ………………恥ずかしくてあいつになんか、絶対言えないけどな───。

後書き

 ファリスのバッツに対する印象ってこんな感じじゃないかな、と思いながら書きました。そうやって助けてくれる人がいるというのは実にいいもんです(ぇ?)

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