2 死ってどんな事?

「おとうさん、おかあさんは………どうしたの?」
「ステラは………母さんは、死んだんだ」

 あの時の親父の曇った声は、今でも鮮明に覚えている。

「死ってどんなこと? ねぇ、こわいの?」
「ああ、怖いさ………。死は大切な人を奪ってしまうんだよ。………さぁ、母さんとお別れしなさい」

 その時は死というものがまだよく分からなかった。それに、親父がどれだけ辛いのを堪えていたのかも………。

「いやだっ! もっとおかあさんと一緒にいたいよ………」
「バッツ………」

 親父は泣きじゃくる俺の頭をそっと撫でながら、静かに諭した。

「いいか、バッツ。男は人前で泣いてはいけないんだ」
「………うん」

 俺はそれ以来泣かなくなった。
 ………親父が死んだ時でさえも。
 けれど今思うとそれは、弱いことを隠し、強がっていただけだったのかもしれない。

 泣くことは、決して悪いことなんかじゃない。
 辛いことを全て洗い流し、その分だけ強くなれるものだ。
 それに、あいつには経験して欲しくない。孤独に大切な人の死だけに悩まされ、捕われ続けることなんて。

 だから、俺は足を運ぶ。
 親友をなくし、感傷に浸ることもできないあいつの心の殻を、外してやりたくて───。

後書き

 ちょっと、適当過ぎだったかな? バッツは明るくて飄々としているところがあるけれど、実はたくさんの死を経験しているから、ファリスが無二の親友を亡くした時の気持ちが誰よりも分かるだろう、と思って書いてみたのですが。これは要書き直しですね………(汗)

Back Home Next

inserted by FC2 system