72 絡まる躯

 今日はバッツ達にとってハードな1日だった。
 戦いに次ぐ戦い。
 それが、より旅路を厳しいものにしていた。


 バッツは宿屋のファリスの部屋の扉をノックした。
「ファリス、入っていいか?」
「バッツか? いいぜ」
 カチャ、と軽くドアを開ける。
 ファリスはジョブチェンジをせずに魔法剣士の衣服のまま部屋にいた。
「どうしたんだ、バッツ?」
 バッツは無言のままファリスに歩み寄り両肩を掴むと、そのまま一気にベッドへと彼女を押し倒した。
「なっ、バッ───」
 突然のバッツの行動に、ファリスは対応が遅れる。
「動くなよ、ファリス」
 目が真剣だった。
 まるで魔物と対峙している時の、歪んだ笑みのようなバッツの顔にファリスは怯む。
「すぐにすむから、じっとしていろよな?」


(何かしら………?)
 レナはふと、ファリスの部屋の前で立ち止まった。
 何か、声が聞こえる。
「あっ………あぁん、バッツ………」
「静かにしろよ、ファリス」
「だって、ちょっと………っ、くすぐったい」
 明らかに艶を含んだファリスの声が部屋から漏れる。
(まぁ、バッツもやるわね………)
 何を思ったのか、レナはそのままドアに耳を当てて盗み聞きをし始めた。
 この2人がどんな行為をしているのか気になるのだろう。
「………っ! 痛い!! バッツ、痛いってば!!」
「もう少しで楽になるからな………少し我慢しろ」
 2人の声が性急にことを運ぼうと、大きくなる。
 その時………。
「レナ、そんなところで何をしているんじゃ?」
「ガラフッ!? な、何でもないわ」
 レナの背後には丁度、外出していたはずのガラフの姿があった。
「ファリスの部屋で何かあったんじゃろ?」
「別に、何でもないわ………」
 ここで盗み聞きしていたことがバレると色々と厄介だわ、と思ったレナは必死に取り繕おうとする。
「よーし、儂が確かめるぞい」
「ちょ、ちょっと………!」
 レナがガラフの手を止める。
 2人がドアの前で揉み合っていると………。
「ぁ………」
 その拍子に運悪くドアが開いてしまったのである。
「レ、レナッ!」
 ファリスの恥じらいの声が飛ぶ。
 レナはファリスのいる方を見た。
「やっぱり………バッツも隅に置けないわね!」
 それを聞いて、バッツは不思議そうな顔をする。
「何言ってんだ? 俺はファリスが足に怪我をしていたから、治療してやっていたんだけど………」
「本当に?」
 レナは意外そうな顔をして問いかけた。
「あぁ、ほらここ」
 確かに左足の太腿の部分に傷があった。
「薄布だから怪我しやすいんだよ、魔法剣士は。なのにファリスはこれぐらい大丈夫だからって聞きやしない。だから、ちょいと無理矢理な」
 バッツの現在のジョブは薬師だったし確かに筋は通っていた。
(何よ、つまんないわね………)
 つまるところ、バッツがファリスをベッドに寝かせたのはあくまでも傷の手当てのためだったのである。
 レナの事情が飲み込めたファリスはバッツの後ろで、そっと溜め息をついた───。


「バッツ、まだ起きてるか?」
「ああ。どうした?」
 ファリスはバッツの部屋に入った。
「何やってたんだ?」
「明日の予定を立てていたんだ」
 机の上には地図が広げられ、あちこちに羽ペンで記入されていた。
「あのさ、お礼、言おうと思って。さっきはほら、レナ達がいたから、何かその………言いづらくて………。サンキュな」
「あんまり無理するなよ。それからな───」
 バッツはそこで1度間を空けた。そして………。
「その格好。………挑発してるのか?」
「………!///」
 バッツのストレートな物言いにファリスは頬を染める。
 ファリスの服装はというと、真っ白なネグリジェ姿だった。
「俺はそんな格好されて我慢できる程、出来た人間じゃないぜ?」
 甘い言葉がファリスの耳に突き刺さる。
「うわっ………バッツ!」
 椅子に座って後ろを見ずに、バッツの腕は背後にいるファリスを捕らえた。
「伸びをしただけ………………っていうのは嘘。ファリス、捕まえた」
「離せよ、バッツ………///」
「やだね」
 元よりファリスも逃げるつもりなど、なかった。
「まぁ、今日は助けてもらったから少しだけ、な?」
 ファリスはそっとバッツの顔を両手で包むと、静かに顔を近付けた───。

後書き

 しっかしまた、エロいなぁ………( ̄ー ̄; ヒヤリ 激甘だしさぁ〜/// だって、タイトルからしてエロいんだから仕方ない(開き直りかよ………)でも、何か思わせ振りなのが無性に書きたかったんだもん。最後のバッツがファリスを捕まえるシーンだけは本当の話です(え?)日記に最近それらしいことを書いたけどなぁ〜。本人曰く、伸びをしただけと言っておりますが(笑)(たぶん、本当に伸びをしただけ。でも、それはそれで問題が色々と………(汗))

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